胸に渦巻く不安
夜中、東京・江東区のアパートで電気を消した後も、スマホの明かりだけがチカチカと瞬いていました。
「約束されていた養育費の振込が今月もない」その現実に直面し、私は枕を抱えてシクシク泣いたのです。
家賃の支払い期限は目前、幼い娘はすやすや眠る隣の部屋。
「どうして彼は払ってくれないの?」と悔しさが込み上げ、鼓動がドキドキと早まります。

同じ東京都内でシングルマザーとして子育てをする友人5人に聞いたところ、なんと4人が養育費の未払い経験者でした。
半数以上が1円も受け取れないなんて、あまりに厳しい現実ではないでしょうか。
とはいえ、だからといって「元夫が払わないなら仕方ない」と泣き寝入りしてしまうのは、もう終わりにしませんか?
私はかつて諦めかけて失敗しましたが、今度こそ未来を変えるために動き出しました。

孤独を支える区役所の相談窓口
「誰にも相談できない…」と孤独を感じていた私が、初めて頼ったのは地元・江東区役所の窓口でした。
平日の昼下がり、意を決して子ども家庭支援課の扉を押したとき、心臓はドキドキ。
実のところ、公的機関なんて冷たい対応かもと勝手に思い込んでいたのです。

私がぽろぽろと涙ながらに事情を話すと、「大丈夫ですよ、一緒に考えましょう」とティッシュを差し出し、ゆっくり頷いてくれました。
ふと、部屋の隅にキッズスペースまで用意されているのが目に入り、「ここは一人で悩むママの駆け込み寺なんだ」と感じたのを覚えています。
実際、東京都内の各区市町村にはひとり親家庭向けの相談窓口が用意されています。
例えば都が設置する「東京都ひとり親家庭支援センター はあと(飯田橋・多摩)」では、養育費に関する専門相談を行っており、東京都在住の母親または父親であれば、1時間程度の相談を無料で受けることができます。

電話で予約し、後日オンライン相談を利用しましたが、専門の相談員さんが丁寧に話を聞いてくれ、具体的なアドバイスを提示してくれたのです。
例えば、「養育費が振り込まれない場合、内容証明郵便で督促してみましょう」とか、「相手の勤務先がわかるなら差し押さえ手続の検討もできますよ」といった具合です。
行政の窓口だからと侮ってはいけません。
それまでモヤモヤ一人で悩んでいた私ですが、区役所や都の支援センターで相談したことで心がフッと軽くなり、孤独じゃないと実感できました。
何より公的窓口は無料なので経済的負担もありません。
あなたの住む区でもきっと力になってくれる窓口があるはずです。

怒りを託せる弁護士への相談
それでも滞納が続く場合、次第に募るのは怒りと不安でしょう。
私自身、「こんなに苦しい思いをしているのに、元夫は知らん顔でズルい!」と怒りに震えた夜がありました。
とはいえ感情のまま本人に怒鳴り込んでも、事態はこじれるばかりで私の失敗談でもあります。

そこで怒りはプロに託すことに決めたのです。
法律の専門家、つまり弁護士に相談してみることにしました。
養育費の未払いは金銭トラブルであり、法的には支払い義務の不履行です。
専門家に相談すれば、具体的な解決策が見えてきます。
私が初めて弁護士相談を利用したのは、新宿区で月に一度開催されている無料法律相談会でした。(※ 事前予約制、30分枠)
その日対応してくれた女性弁護士は、私の話をうんうんと聞いたあと、毅然と言いました。
「泣き寝入りする必要はありません。法的手段で取り戻せます」と。

弁護士によれば、まず内容証明で支払いを正式に請求し、それでもダメなら家庭裁判所で調停を申し立てる方法があるとのこと。
調停や審判で支払うよう取り決めても守られない場合は、最終的に給与や預金を差し押さえる強制執行だって可能です。
実際、弁護士に依頼すれば相手も観念して支払いに応じる場合が多いそうです。
私も後日、思い切って弁護士費用を払って正式に依頼したところ、弁護士から内容証明が届いた元夫はおそるおそる連絡を寄こし、滞っていた養育費の一部を支払ってきました。
「最初からプロに任せておけばよかった」と痛感した瞬間です。
もっとも、「弁護士に頼みたいけど費用が心配…」という声もあるでしょう。

「法テラス」は国が設置した法的トラブル解決の総合案内所で、収入等の条件を満たせば無料で法律相談(最大3回)が受けられます。
私のように手持ちのお金が乏しいシングルマザーでも、一度相談してみる価値はあります。
加えて、必要に応じて弁護士費用を立て替えてもらえる扶助制度も利用でき、費用は後から分割でゆっくり返せるので安心です。
要するに、お金がなくても泣き寝入りする必要は全くないのです。
それでも「裁判なんて大げさでは…?」とためらう気持ちも分かります。
しかし、あなたとお子さんの大切なお金です。
法律の力を借りるのは決して大げさなことではありません。
それどころか、私は弁護士に話を聞いてもらっただけで胸のつかえがスッと取れました。
専門家が味方についてくれる心強さは何にも代えがたいものです。

必要な戦いはプロに任せて、前向きに進んでいきましょう。
不安を分かち合う支援団体との繋がり
法的手段の検討と並行して、心の支えとなる仲間づくりも大切です。
「もう疲れた…誰か助けて」と途方に暮れていた頃、私は思い切ってあるNPOの集まりに参加してみました。
それは四ツ谷で開かれたシングルマザーの交流会。
初めて会う人ばかりで最初はオドオドしてしまいましたが、自己紹介のときに勇気を出して「養育費の未払いに悩んでいます」と打ち明けてみたのです。
すると、他の参加者から「うちもよ!」「私も同じ」と次々共感の声が上がり、驚きました。
10人ほどの母親が円になって座る中で、養育費をちゃんと受け取れている人はわずか2~3人。

先輩ママたちから体験談やアドバイスを聞くうちに、私の凝り固まっていた心は徐々にほぐれていきました。
「一人じゃないんだ。こんなに仲間がいるんだ」と知るだけで、不安がスーッと和らいだのを覚えています。
このように、支援団体や当事者同士のコミュニティは悩めるシングルマザーの強い味方です。
例えば国内最大級の支援団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は30年以上の活動実績があり、全国で5,000人以上の会員がいます。
東京を中心に各地で「ママカフェ・ほっとサロン」といった相談会や交流会を開催しており、ベテランのシングルマザーに直接体験談を聞いたり、悩みを聞いてもらったりできる場を提供しています。
実際、私が参加した会でも、「フォーラム」のスタッフさんが「養育費で困ったらこの団体(養育費保証協会)の情報もあるよ」と資料をくれたり、別のママさんは「〇〇法律事務所に相談したらいいよ」と自身の成功例を教えてくれたりと、有益な情報交換ができました。

その他にも、シングルマザーを支援するNPO法人やボランティア団体は東京都内にいくつも存在します。
たとえば「日本シングルマザー支援協会」や、ひとり親家庭の自立を応援する団体「子育てネットワーク・ピッコロ」など、目的や活動内容は様々ですが頼れる存在がたくさんあります。
自治体が案内している情報サイトやSNSで調べれば、きっとあなたに合った居場所が見つかるでしょう。
大切なのは、悩みをひとりで我慢しないことです。
専門家や公的機関に相談するのも大事ですが、同じ立場の仲間とつながることで、精神的な支えと具体的な知恵の両方が得られます。
不安な気持ちを抱え込んでいても、解決の糸口はなかなか見えません。
実のところ、行政の支援窓口ですら「支援団体とも連携して問題解決を図っている」場合が多いのです。
あなたもぜひ一歩踏み出して、扉をノックしてみてください。

結論:未来へ踏み出すあなたへ
養育費の未払いに泣かされてきた日々は、決してあなたのせいではありません。
しかし、このままでは終わらせないでください。
未来志向で考えてみましょう。
例えば、今日紹介した窓口のどれか一つにでも連絡を取ってみるだけで、明日は昨日と違う景色が見えるかもしれません。
私は勇気を出して相談したおかげで、「娘のために、もう一度戦ってみよう」という前向きな気持ちを取り戻すことができました。
専門家の助言と仲間の励ましは、まるで真冬の夜に差し込む一筋の光のように心を温めてくれます。
あなたも決して一人ぼっちではありません。
東京都には、あなたの声を待っている支援者がこんなにも存在しています。

お子さんの笑顔とあなた自身の明日のために、一緒に一歩ずつ進んでいきましょうね。