こちらでは、養育費の未払いに悩み、苦しんだシングルマザー・シングルファザーたちの生の声を紹介します。
掲示板や相談サイト、アンケートなどから寄せられた体験談をもとに、そのリアルな実情を見ていきましょう。

経済的な苦境と精神的な疲弊
養育費がもらえないことで生活が立ち行かず、追い詰められてしまった例は少なくありません。
あるシングルマザーの方は、離婚当初に月額5万円の養育費を口約束したものの、相手が支払いを渋って結局一度も受け取れず、「借金だらけで途方に暮れた」といいます。
幼い子どもを抱えてフルタイムで働くこともままならず、家賃が払えずに知人の家を転々としたり、生活保護の受給を検討したりといった極限状態に陥ったそうです。
また、別の女性Cさんのケースでは、養育費が8年間未払いのまま子ども達を育てざるを得ず、一時は住む場所も無く親にも頼れず、友人にお金を借りたり、ストレスでうつ病のような状態になって働けない時期もあったと打ち明けています。

泣き寝入りしている現状
養育費を請求したくても、手続きの煩雑さや相手の態度に阻まれて泣き寝入りしてしまうケースも多々あります。
例えば、「元配偶者の居場所は分かっているが、請求には膨大な資料や証明を集めないといけないので、結局泣き寝入りしている」という声もあります。
実際、養育費を確実に取り立てるには調停調書や公正証書などの債務名義を取得し、その後強制執行の手続きを踏む必要があります。
法律や手続きに不慣れな一般の人にとってハードルが高く、「そこまでしても取れないかもしれないなら…」と諦めてしまう気持ちも理解できます。
また、「弁護士に依頼したくても費用が高くて頼めない。結局、話し合いができない相手なので大幅な減額を呑むしかなかった」という切実な体験談もあります。

相手の理不尽な対応
養育費を払わない親の中には、開き直ったり理不尽な行動に出たりする人もいます。
ある母親は元夫に対し「支払いが滞るなら強制執行も検討する」と警告したところ、逆に「名誉毀損で訴えるぞ」と脅されてしまったようです。
さらに元夫が再婚した際には「その月の養育費は払わない」と一方的に告げられ、呆れるほかなかったといいます。
また別のケースでは、公正証書まで作って離婚したのに半年後に元妻から減額調停を申し立てられ、高裁まで争って減額を阻止したものの、元妻が遠方に引っ越してしまい財産開示命令を取り付けてもまだ支払われていない「未払い額は400万円にも達する」という壮絶な体験談もありました。
「判決では勝ったのに支払いがないなんて」「こんなに相手の言いなりになる今の制度はおかしい」と嘆く声からは、制度の限界と相手の悪質さに翻弄された無力感が滲みます。
また、「自営業の元夫が偽の給与明細を提示して養育費を減額させた」「病気で働けないと言って養育費ゼロにしたくせに、実はすぐ再就職していた」など、支払わない側が嘘をついて得をしている理不尽な例もあります。

子どもへの影響と葛藤
養育費未払いは、経済面だけでなく親の精神面にも影響を与えます。
「このままでは子どもに十分な教育を受けさせられないのでは」「自分ばかり苦労して不公平だ」という思いから、心に大きなストレスを抱えてしまうのです。
ある母親は「周囲の助けがなかったら、心身をすり減らして諦めてしまっていたと思う」と語っています。
なんとか踏みとどまれたのは家族や友人の支えがあったからで、「もし完全に母子二人きりだったらと思うとゾッとする。子どものために母親がボロボロにならなくて済むように、もっと制度を充実させてほしい」と切実な訴えをしています。
一方で、「お金より大事なのは子どもの笑顔。いっそ養育費は諦めてしまったほうが楽かもしれない…」と悩む方もいます。
実際に、「養育費は入っていたらラッキーくらいに考えて、当てにしないようにした」「お金はいらないから、その分子どもに会ってあげてほしいと思った」という声もありました。
未払いにより経済的につらい状況であっても、子どもの心を優先して恨みを残さないように努めた親御さんもいるのです。
とはいえ、本音では「できればきちんと払ってほしい」に決まっています。

このように、養育費未払いに苦しむ人々の体験談からは、経済的困窮、制度的ハードル、相手の理不尽さ、精神的ストレスなど様々な側面が浮かび上がります。
同じ立場の方の声を知ることで、「自分だけじゃない」と少しホッとする部分もあるでしょう。
