「再婚したら養育費がもらえない」は誤解!諦めずに養育費を請求する具体的手順

再婚したら養育費がもらえないは誤解!

自分が再婚したら養育費はもらえなくなるのでは?」という不安から、再婚に踏み切れないシングルマザー・シングルファザーもいるかもしれません。

まず、自分が再婚した場合でも(子どもを再婚相手と養子縁組しない限り)元配偶者に養育費を請求する権利は継続します。

再婚はあなた個人の幸せであると同時にお子さんの生活環境も変化する出来事ですが、だからといって子どもの権利である養育費を諦める必要はありません。

こちらでは、再婚後も途切れることなく養育費を受け取るための具体的な方法やポイントを解説します。

再婚によって環境が変わっても、子どもの健やかな育ちを支える養育費を確保することは可能です。

そのために今からできる準備や、再婚後に元配偶者と円滑に金銭面の取り決めを続けるコツを確認しましょう。

離婚時に決めていなくても諦めないで:養育費請求は再婚後でも可能

まず大前提として、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合でも、後から養育費を請求することはできます。

これは再婚の有無にかかわらず言えることです。

離婚届を提出するときに養育費の話し合いをしなかった」「当時は要らないと言ってしまった」という場合でも、気が変わったり状況が変わったりすれば離婚後に家庭裁判所へ養育費請求の調停を申し立てることが可能です。

実際、家庭裁判所の公式サイトにも「離婚届を出してからでも、養育費請求の調停を申し立てることができます」と明記されています。

ですから、「もう再婚するし今さら言い出しにくい…」と遠慮する必要はありません。

一番大切なのはお子さんの将来です。

再婚によって経済的に余裕ができる場合もあるでしょうが、だからといって本来受け取れるはずの養育費を放棄する必要はないのです。

再婚後に養育費を受け取るためにやるべきこと

養育費の合意を明確にする

離婚時に口約束やメールのやり取りだけで養育費を決めていた場合、再婚後に相手が「そんな約束は無効だ」と言い出すリスクがあります。

そのため、まだ正式な合意書や公正証書を作成していない場合は、再婚前にきちんと文書化しておくことをおすすめします。

公正証書についてのポイントは強制執行が可能な形式で取り決めを残すことです。

こうすることで、たとえあなたが再婚しようとも、元配偶者は勝手に支払いを止められなくなります。

家庭裁判所の調停を活用する

すでに相手が養育費を払っていない場合や、離婚時に決めなかった養育費を請求したい場合、家庭裁判所の養育費請求調停を申し立てるのが有効です。

調停では裁判官と調停委員が間に入って双方の事情を聴き、公正な金額を算定・提案してくれます。

調停申立てにかかる費用は子ども1人につき収入印紙1,200円(+郵便切手代程度)と経済的負担も小さいです。

弁護士がいなくても本人だけで手続き可能なので、遠慮なく利用しましょう。

再婚後であっても全く問題なく申し立てできます。

実際に離婚から年数が経っていても調停で養育費が決まった例は多数あります。
今さら無理だろう」と決めつけず、一度家裁に相談してみてください。

市区町村の相談窓口を利用する

ひとり親家庭を対象に、自治体には「母子・父子自立支援員」や「養育費相談支援センター」のような相談窓口があります。

再婚後でも利用でき、養育費の取り決め方や調停の起こし方などをアドバイスしてもらえます。

例えば厚生労働省の委託事業である「養育費・親子交流相談支援センター」では電話やメールで無料相談が可能です。

こうした公的サービスを活用し、専門家の知恵を借りるのも得策です。

再婚を理由に支払いを止めさせない

あなたが再婚したことを知って、元配偶者が自己判断で養育費を送金してこなくなる可能性もあります。

しかし、再婚だけでは支払い義務は終わらないことをきちんと伝えましょう。

必要なら前述のように公正証書や調停調書といった公式の書面を提示したり、「法律上は私が再婚しても養育費は子どもの権利だから支払いは続けてもらうことになっている」と冷静に説明したりすると良いでしょう。

それでも応じなければ、遠慮なく法的措置を取る準備を始めてOKです。

新しいパートナーとも事前に話し合っておく

あなた自身が再婚する場合、新しいパートナーにも事前に養育費の取り決め状況を共有し、理解を得ておくことも大切です。

たとえば、「前の夫から毎月○万円の養育費をもらっているけれど、これは子どもの養育に充てている」と正直に話しておきましょう。

新しいパートナーの中には「自分がいるのだから元配偶者のお金は受け取るべきではない」と考える人もいるかもしれません。

しかし養育費はあくまで子どもの権利であり、あなた個人のためのお金ではなく子どもの生活や教育のためのお金です。

ここを誤解してパートナーに遠慮してしまうと、結果的に子どもに不利益が及びます。

実際の相談でも、「再婚相手に気を遣って元夫からの養育費受取りを辞退すべきか悩んでいる」という声があります。

しかし法律的には再婚後も養育費をもらい続けることは何ら問題ありません。

むしろ自治体の担当者などは「新しいパートナーにも事情を理解してもらい、子どものために受け取れるお金は受け取っておく方が良い」とアドバイスするでしょう。

お金の話はデリケートですが、後になってから誤解や不信感が生じないよう、最初にきちんと話し合っておくことをおすすめします。

話し合いのポイント

  • 養育費は子どもの将来の学費や生活費に充てていることを説明する(貯金して教育費に備えている等でも可)。
  • あなたの収入や再婚相手の収入だけでは賄いきれない部分を補ってもらっている現状を共有する。
  • 再婚相手にとっても前の配偶者からお金を受け取るのは気持ちの良いことではないかもしれないが、子どもの幸せを第一に考えたいという姿勢を伝える。
  • もし再婚相手が自分が代わりに支えたいと言ってくれても、「ではその分は子どもの教育資金として貯めさせてね」とポジティブに捉え、養育費は将来の学費や塾代に回す計画を示す。

このようにお互い納得しておけば、再婚後も養育費受取りについて夫婦間でトラブルになることを防げます。

新しい人生を歩み始めても、お子さんの権利と生活をしっかり守っていきましょう。