養育費を取り決める時に絶対押さえるべきポイント|失敗しないための完全ガイド

養育費を取り決める時に絶対押さえるべきポイント

離婚の話し合いを進める中で、養育費の取り決めは子どもの将来に直結する重要事項です。

しっかり合意しておかないと、後々のトラブル不払いにつながりかねません。

ここでは、養育費を取り決める際に押さえておきたいポイントと注意点を説明します。

養育費の取り決め前に準備したいこと

1. 相場と必要額の把握

養育費算定表などを参考に、自分たちの場合のおおよその適正額を把握しましょう。

相手任せにせず、養育費が子どものための大切なお金であることを念頭に、必要な生活費教育費を見積もってみてください。

どれくらいもらえるのか?」ではなく「子どもにどれくらい必要か」という視点が大切です。

また、相手の収入や資産状況も確認できる範囲で把握しておきましょう。

源泉徴収票や給与明細、確定申告書の提示を求め、お互いフェアに開示することが望ましいです。

2. 支払い方法の確認

養育費は毎月一定額を銀行振込などで支払ってもらのが一般的なため、どの口座にいつ振り込むのかを具体的に決めましょう。

振込手数料の負担も決めておくとスムーズです。

現金手渡しは記録が残らずトラブルのもとになるため避けて下さい。

年に一度ボーナス月に加算して払う方式などもありますが、滞りなく払われるか不安が残るため、基本は月々定額が安心です。

3. 支払い期間・終期の合意

何歳まで払うか」を双方で明確にしておきましょう。

高校卒業まで」「20歳まで」など具体的に取り決め、文書に記載しましょう。

これを曖昧にすると、後で「もう終わりだ」「まだ続くはず」と揉める原因になります。

必ず書面で取り決めること

最も重要と言っても過言ではないのが、養育費の合意内容を必ず書面に残すことです。

口頭の約束だけでは、後々「言った・言わない」の水掛け論になりかねませんし、相手の支払い意思も時間とともに薄れてしまいがちです。

専門家も「養育費の条件を口約束で終えるのは危険」と口を揃えています。

実際、口約束だけで済ませた場合と書面を交わした場合とでは、支払う側の「最後までちゃんと払おう」という意識に差が生じやすいと言われます。

書面、特に公正証書のような強制執行力のある文書に残しておけば、万一未払いが生じた際に、給料差し押さえなどの法的手段を取れるため、心理的なプレッシャーとなります。

逆に口約束のみだと法的拘束力が弱く、「払わなくても大丈夫かも」と甘く考える人も残念ながらいるのが現実です。

書面の形式としては、「離婚協議書」を作成し双方署名押印する形でも一応証拠にはなります。

ただし離婚協議書だけでは法的執行力(強制力)はありません。

確実を期すなら公証役場で公正証書にしておくことを強くおすすめします。

公正証書とは、公証人という公的な第三者が関与して作成する文書で、養育費について「支払いを怠れば強制執行に服する」旨の条項を入れることで、裁判の判決と同等の強制執行力を持たせることができます。

公正証書があれば相手が支払いを滞納した際に直ちに給与や財産を差し押さえる法的手続きが可能になります。

費用も数万円程度とそれほど高くないため、取り決め内容が固まったら公証役場で公正証書化するのがベストです。

実際に「口約束で月5万円と決めたが、書面を残さなかったため相手がすぐ支払わなくなり後悔した」というシングルマザーの事例も報告されています。

こうした失敗談は決して他人事ではありません。
どんなに相手を信用していても、「約束は文書に残す」これは養育費取り決めの鉄則と言えます。

取り決め内容の細かなポイント

養育費合意書や公正証書を作る際には、以下の点も盛り込んでおくと安心です。

支払期日

毎月〇月〇日限り」など支払日を明確にします。

月末か月初か、中旬かを決め、金融機関休業日の場合の扱いも決めておきます。

一般的には「毎月末日までに翌月分を支払う」などとします。

振込口座

受取側の銀行口座情報を明記します。

また将来引っ越しや改姓などで口座名義が変わった場合の通知義務についても触れておくと良いでしょう。

増減変更の取り決め

将来的に収入変動等で支払い額の見直しが必要になった場合の取り扱いについて記載できます。

双方協議の上変更できる」「家庭裁判所の調停で変更を協議する」等。

ただし具体的には状況次第なので、あまり細かくは決められないかもしれません。

ボーナス月加算や臨時費用

必要に応じて、「毎年〇月と〇月は通常額に加え〇万円を支払う」「高校・大学入学時に〇万円の一時金を支払う」等の特約を加えることもあります。

教育費負担の分担をより細かく決めるイメージです。

滞納時の対応

公正証書にする場合は強制執行認諾文言を入れるので明確ですが、念のため「一定期間以上滞納した場合には直ちに法的措置をとることができる」旨を書いておくこともあります。

実効性確保のための宣言といえます。

話し合いが難しい場合は

養育費の取り決めをしたくても、相手がそもそも協議に応じてくれない連絡が取れない、といった場合もあるでしょう。

また、DVやモラハラなどで直接交渉するのが危険・困難な場合もあると思います。

そのような時は家庭裁判所の調停を利用しましょう。

家庭裁判所に「養育費請求の調停」を申し立てれば、調停委員を交えた話し合いの場で養育費額を決めることができます。

直接相手と顔を合わせず別々に話を聞くシャトル調停も可能ですので、恐怖心がある場合でも安心です。

調停で合意が成立すれば調停調書という文書が作成され、これにも公正証書同様に強制執行力があります。

調停でもまとまらなければ審判(裁判官の判断)となり、裁判所が金額等を決定します。

相手とかかわりたくない」という理由で養育費の取り決め自体を避ける親御さんもいます。

しかし、関わりたくないからと何も決めないままでいると、結局お子さんのためのお金が受け取れず苦労するのは自分とお子さんです。

どうしても直接のやり取りを避けたい場合こそ、家庭裁判所という公的な場を利用してでも取り決めをしておくべきです。

最近では自治体や民間団体による養育費相談支援サービスも充実してきています。

弁護士会やシングルマザー支援団体などが無料相談を受け付けている場合もありますので、上手に活用しましょう。

取り決め時の注意点まとめ

情に流されすぎない

相手が経済的に苦しいからといって極端に低い額にしたり、「もう養育費はいらない」と放棄したりすることはおすすめできません。

それは結果的にお子さんの生活に影響します。

相手に本当に支払能力がない場合でも、話し合いでゼロにするのではなく、まずは調停などで適正額を決め、支払えないなら公的支援につなぐ方策を考えるべきです。

自分だけで悩まない

養育費は金銭が絡むデリケートな問題ですが、一人で抱え込まないでください。

行政(市区町村のひとり親相談窓口)や弁護士など、頼れるところは頼ってプロの知恵を借りましょう。

迅速に行動する

離婚協議中であれば、離婚届提出前に必ず養育費を決めて公正証書を作る段取りまで行うことです。

離婚後で未取り決めなら、一日も早く相手に話を切り出すか調停を申し立てることが大事です。

時間が経つほど相手のモチベーションや状況も変化し、取り決めが難しくなる傾向があります。