【養育費の取り立て、強く出る?話し合う?】強硬派と柔軟派のメリット・デメリットを徹底解説!

強硬派と柔軟派のメリット・デメリットを徹底解説!

養育費の未払い問題に挑む上で、「強硬手段で臨むべきか、柔軟な話し合いでいくべきか」という判断は悩ましいポイントです。

簡単に言えば、「徹底的に追及する」か、「相手に寄り添い譲歩しつつ説得する」かの違いですが、どちらが有効かはケースバイケースです。

こちらでは、強硬派・柔軟派それぞれのメリット・デメリットを整理し、状況に応じた戦略を考えます。

強硬派アプローチのメリット・デメリット

強硬派とは、法的措置や強制力を辞さず、時に感情的に厳しく相手を責め立てるような交渉姿勢を指します。

例えば、初期から「払わないなら法的手段に訴える」と通告したり、内容証明郵便を送りつけたり、職場への給与差押えを即実行したり、といったやり方です。

強硬派のメリット

強い圧力をかけるため、相手に即効性のある危機感を植え付けられます。

特に相手が「大ごとにはしたくない」「面倒は嫌だ」というタイプなら、一気に形勢逆転できることもあります。

また、話し合いが通じない相手や悪質な相手には、最終的にこの方法でないと解決しない場合も多いです。

事実、給与差し押さえという強制執行は未払い解決の最終兵器であり、法改正で手続きも簡素化されつつあります。

強硬手段は確実性という点で優れています。

強硬派のデメリット

相手との関係が修復不能になるリスクがあります。

強い態度に出れば出るほど、相手も心を閉ざし、最悪「もう絶対払わない」という意地を張る可能性もあります。

特にプライドの高い人や感情的な人は逆効果になりやすいです。

また、法的手段は手間や時間、費用もかかります。

調停や裁判になれば数ヶ月~1年単位の決着になりますし、弁護士費用も発生するでしょう。

さらに、それだけやっても相手に支払い能力がなければ結局回収できないケースもあります。

コストとリスクが高いアプローチと言えます。

強硬派が有効なケース

相手がこちらのことを軽んじていて甘く見ている場合、または話し合いを拒否・無視してくる場合は、有無を言わさぬ強硬策が必要です。

例えば「電話もLINEもブロックされている」「催促してもヘラヘラ先延ばしにされる」というような悪質なケースでは、最初から家庭裁判所の履行勧告や調停を申し立てて、公的な場に引きずり出すのが効果的でしょう。

また、相手にそれなりの収入や資産があるのに払わない場合は、強制執行で給与や預金を差し押さえる手続きに入れば確実です。

つまり、「追い詰めれば払える人」には強硬策が有効です。

強硬派が逆効果なケース

相手が感情的な対立を望んでいない場合、あるいは話し合いの余地がある場合にいきなり強攻策に出ると、折角の協調路線を自ら壊すことになります。

例えば「遅れてごめん」と言ってきている相手に突然内容証明を送りつけたら、相手は怒るでしょう。

こちらは歩み寄ろうとしてたのに」と交渉決裂になる恐れがあります。

また、相手が本当にお金がない場合、強硬に出ても払えないものは払えないので徒労に終わります(むしろ自己破産されて帳消しになるリスクも)。

相手を怒らせてでも回収したい金が確実にある」場合以外は慎重に使うべきです。

柔軟派アプローチのメリット・デメリット

柔軟派とは、相手の事情や心理に配慮し、譲歩や協調を重ねながら合意点を探る交渉姿勢です。

感情をぶつけるより、対話と妥協を重視します。

たとえば「払える範囲でいいからお願い」と頼んだり、減額や支払猶予を提案したり、相手の愚痴を聞きながら説得したりといったやり方です。

柔軟派のメリット

相手との関係を比較的良好に保ちつつ解決を目指せます。

相手も「話を聞いてくれるんだ」と心を開きやすくなり、長期的な協力関係を築ける可能性が高まります。

特に子どもがいる以上、親同士の関係は今後も続くものですから、できれば敵対せずに合意した方が子どものためにも良いでしょう。

また、調停などの場でも、こちらが柔軟に提案している方が調停委員の心証も良く、スムーズにまとまりやすいです。

柔軟派アプローチは「喧嘩別れ」を避け、Win-Winを探る点でメリットがあります。

柔軟派のデメリット

相手に舐められる可能性があります。

こいつは何だかんだ言っても譲歩してくれる」と思われると、ますますつけ込まれかねません。

例えば減額を認めたら、結局その低い額すら払わなくなるとか、「待ってくれるなら」とずるずる放置されるケースもあります。

毅然さに欠けると見られるのはデメリットです。

また、あまりに相手本位で話が進むと、こちら(子ども側)の大きな損失になる危険もあります。

減額しすぎて生活が苦しくなったり、払わないことを事実上容認するような形になると本末転倒です。

柔軟さと甘さは紙一重なので、線引きが難しい面があります。

柔軟派が有効なケース

相手がある程度常識的で話し合いができる人なら、まずは柔軟な交渉から入るのがセオリーです。

お互い感情的になっていないなら、協調路線で合意形成を目指すべきです。

また、相手に払う気がないわけではなく、何らかの事情で滞っているだけなら、こちらが歩み寄ることで解決する可能性が高いです。

(例:「今月ちょっと厳しくて…」→「じゃあ来月2ヶ月分まとめてお願い」)

話せばわかる人」「悪人ではない人」には柔軟アプローチが向いています。

それに、強硬策はいつでも取れますが、柔軟策は最初のタイミングを逃すと効きません。

ですから、まずは柔軟→ダメなら強硬が基本的な流れと言えます。

柔軟派が逆効果なケース

相手が明らかに悪質で、こちらの優しさに付け込んでいる場合は、柔軟路線ではいつまで経っても解決しません。

例えば何度約束しても破る、嘘ばかりつくといった相手に対しては、毅然とした態度を示さなければ改善しないでしょう。

ずるずる待ってあげているうちに時効(基本的に養育費債権は5年で消滅時効)になってしまったなんてことになれば最悪です。

また、相手がこちらを見下しているようなケースでは、柔軟に話しても「どうせ何もできないくせに」と鼻で笑われるだけです。

話が通じない人」「悪意がある人」には柔軟策は通用しません。

ハイブリッド戦略:飴と鞭の使い分け

強硬か柔軟かは二者択一ではなく、段階的に使い分けることも重要です。

多くの専門家もまず話し合い→ダメなら法的措置と段階を踏むことを推奨しています。

具体的には、

  • 任意の話し合い(柔軟): 最初はメールや電話で穏やかに請求し、相手の反応を見る。
  • 内容証明郵便(やや強硬): 話し合いに応じないor約束を反故にしたら、公的な請求書を送る。これで法的手段を示唆。
  • 調停申立て(中間): それでもダメなら家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てる。調停は話し合いではあるが、裁判所の場なのでプレッシャーあり。
  • 強制執行(強硬): 調停でも払わないorそもそも調停に出てこない場合、判決や調停調書を取って差押えに踏み切る
このように段階を踏めば、相手に考える時間と猶予を与えつつ徐々に圧を強めることができます。

このままでは本当に差押えになるぞ」と感じた時点で相手が折れてくれれば裁判沙汰も回避できますし、それでもダメなら最終手段に移行するのみです。

実際、多くの弁護士も「まずは任意交渉、それでダメなら調停や審判を」というフローを紹介しています。

やみくもに優しくする必要もないし、初手から喧嘩腰も得策ではないということです。

体験談(掲示板より)

最初は何度も電話でお願いしました。
でも元夫はのらりくらり…。仕方なく内容証明を送り、それでも無視されたので調停を申し立てました。
すると調停期日の通知が届いた途端に『払います』と連絡が来ました(笑)。
やっぱり裁判所の名前が出ると効くみたいです。


結論相手のタイプや状況に応じて、柔軟な話し合いと強硬な法的手段を組み合わせるのが最善です。

基本的にはまず話し合い(柔軟)で解決を図り、ダメなら徐々にプレッシャーを強める方向で進めると良いでしょう。

最初から強硬に出るのはリスクがありますが、最後まで優しすぎると解決しないことも多いです。

飴と鞭を上手に使い分け、ここぞという時には毅然とした態度を示すことが大切です。

補足

実は2020年以降、養育費の不払い対策が国レベルで強化され、情報開示制度や強制執行が容易になる法改正も行われています。
例えば、相手の勤務先や財産を調べやすくなったり、公正証書があれば即差押えできたりといった仕組みが整いつつあります。
ですから、「払わなくても逃げ切れる」時代ではなくなってきていることを相手に伝えるのも一つの手です。
これは強硬策に属しますが、そうした社会情勢をチラつかせることで、相手に「もう逃げられない」と自覚させる効果も期待できます。