再婚後に元夫(元妻)が養育費を払わない!実際にあった事例と効果的な対処法

再婚後に元夫(元妻)が養育費を払わない!

再婚が絡むと養育費に関するトラブルが発生しやすい傾向があります。

ここでは、実際によくあるトラブルの事例をいくつか紹介し、その原因と対処法について解説します。

同じような状況に心当たりがある方は、自分の場合に置き換えて対策を考えてみてください。

母が再婚した途端に元夫が養育費を支払わなくなった事例

離婚後、Aさん(母)は月々5万円の養育費を元夫から受け取っていました。

しかしAさんが再婚し、その報告を元夫にしたところ、翌月からぱったりと振り込みが止まってしまいました。

元夫に連絡を取ると「もうお前は再婚したんだから俺が払う必要ないだろ」「新しい旦那に養ってもらえよ」と言われてしまいました。

原因

元夫が法律を正しく理解しておらず、母の再婚=養育費支払い終了と早合点しているケースです。

この誤解は非常によく見られます。

おそらく元夫は「子どもは新しい父親に面倒を見てもらえるだろう」「自分のお金は新しい家庭に回したい」という思いから、一方的に支払いをやめてしまったのでしょう。

中には悪質なケースもあり、「再婚したのを隠して俺に払わせ続けるつもりか!」と勝手に被害者意識を持つ人もいます。

しかし、再婚したからといって当然に養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。

対処法

まずは丁寧に法律の原則を伝えることです。

私が再婚しても、あなたは法律上〇〇(子ども)の父親であることに変わりない。扶養義務は続いている。新しい夫は養子縁組していないから法的義務はない」ことを冷静に説明しましょう。

それでも納得しない場合は、「では家庭裁判所で改めて決め直しましょうか」と調停申立ての意思を伝えます。

相手が法律に無知なだけで悪意がないなら、裁判所という言葉に驚いて支払いを再開することもあります。

実際、養子縁組していない限り再婚相手に子の扶養義務はないため、元夫は養育費の減額を請求することもできません。

調停になっても相手の言い分は通らないでしょう。

また、この事例では未払い期間の養育費が発生しています。

止まった分については遡って請求できますので、調停や審判でまとめて支払うよう求めましょう。

調停調書に残せば強制執行も可能です。

相手が開き直って支払わない場合、強制執行手続きを検討しましょう。

体験談からのヒント

Yahoo!知恵袋にも似た相談がありました。

離婚しシングルマザーで養育費をもらっていて、もし再婚したら養育費はどうなりますか?そのまま貰い続けるんですか?」という質問です。

ベストアンサーでは「離婚後相手が再婚しない限り払うじゃないですか。再婚しても養育費を逃れられることはありません。養育費というのは子供に対する義務なので。隠す隠さないの次元ではありません」という趣旨の回答がされていました。

このように、法律を知っている人から見れば「再婚しても養育費は支払うもの」が常識です。
泣き寝入りせず、然るべき手続きを取りましょう。

元夫が再婚し、養育費の減額を要求してきた事例

Bさん(母)は元夫から月8万円の養育費を受け取っていました。

離婚時に公正証書を作成済みです。

数年後、元夫が再婚し新しい奥さんとの間に子どもが生まれました。

すると元夫から「うちも子どもができて大変だから、養育費を月5万円に減らしてほしい」と言われました。

Bさんが渋ると、元夫は「減額に応じてくれないなら調停を起こす」と迫ってきました。

原因

元夫側の家計負担増加による減額交渉です。

新しい子どもが生まれたことで、元夫にとっては扶養すべき子が二人になりました。

収入が変わらない中で二つの家庭にお金を出すのは確かに大変かもしれません。

この事例では元夫も正式な手続きを口にしていることから、感情的な支払い拒否というより事情変更による減額を正当に求めようとしている状況です。

対処法

まず、減額要求にすぐ応じないことが肝心です。

Bさんは公正証書という強力な証書を持っていますから、相手が一方的に減額することはできません。

減額したいなら元夫の方で家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

Bさんは「分かりました、調停でお話ししましょう」と返事をしました。

実際に調停となり、双方の収入と支出、新家庭の事情などを出し合って話し合った結果、養育費は月7万円に減額(1万円の減額)となる調停調書が作成されました。

元夫は本当は5万円まで下げたかったようですが、調停委員から「再婚相手も働いているし、あなたの収入も上がっているので8万円→7万円が妥当」と説得されたようです。

この事例から分かるように、家庭裁判所は様々な事情を考慮して公平な落とし所を探します。

元夫が再婚して新たに子を扶養する義務が生じたことは事情変更ですが、それによって機械的に半額になるわけではありません。

その時点での双方の収入や生活状況を総合して決められます。

Bさんとしては1万円減額は痛手でしたが、相手の要求よりは有利に守れました。

安易に相手の言い値に応じず、調停など公式の場で決めることが大切です。

相手が再婚して減額を求めてきても、感情論で対立せず「では適正な金額を算定し直しましょう」と応じる冷静さが必要です。

ただし、それはあくまで調停などで決め直すという意味であり、自分から妥協額を提示する必要はありません。

今回Bさんは「7万円でどう?」などと自ら提案せずに調停に委ねたため、結果的に自分に有利な額を勝ち取れました。

これがもし感情的にこじれて私的な話し合いで決めていたら、もっと大きく減額させられていたかもしれません。

公的なプロセスを踏むことがトラブル解決には有効と言えます。

元配偶者の新しい妻(夫)から介入され泥沼化した事例

Cさん(母)は元夫Dから養育費を受け取っていましたが、あるときDが再婚。

すると再婚相手の女性Eさんから突然電話があり、「うちも子どもが欲しいのに、あなたに毎月お金を払っていたら計画が狂う。養育費を減らしてくれないか」と言われました。

Cさんが「それはおかしい」と反論すると、Eさんは感情的に怒り出し、「図々しい!前妻のくせに!慰謝料代わりに払ってやってるんだから感謝しろ」とまで言われ、話になりません。

結局CさんとEさんの仲は最悪に。

Dも「俺は関係ないから二人で話して」と逃げ腰で、収拾がつかなくなりました。

原因

新しい配偶者の不当介入により、話し合いの土俵が崩れてしまった事例です。

Eさんは法律もマナーも無視して怒りをぶつけてきており、理性的な交渉が不能な状態です。

本来ならD本人が対応すべきところを、新しい妻に任せきりにしているのも問題を拡大させています。

これは典型的な泥沼パターンと言えるでしょう。

対処法

このような場合、直接の話し合いはもはや無意味です。

Cさんはすぐに対応を切り替えました。

まずEさんからの連絡は今後ブロックし、Dに対して内容証明郵便で「養育費減額には応じられません。今後の連絡は書面でお願いします」と通告しました。

そして速やかに家庭裁判所に養育費支払いの履行勧告を申し立てました(ちょうどその頃、Dからの振込が遅れ始めていたためです)。

家庭裁判所からD宛に「約束どおり支払いなさい」との勧告文書が送られ、Dはさすがにことの重大さに気づいたのか、Cさんに「ごめん、ちゃんと払うから」と連絡してきました。

以後Eさんからの連絡はなくなり、Dは決められた額を支払い続けています。

ポイントは、やはり新しい配偶者とは直接やりとりしないのが鉄則です。

この事例ではCさんが毅然とそれを断ち切ったことが功を奏しました。

また、第三者(家庭裁判所)から公式に文書を出してもらうことで、Dも「マズい」と思ったのでしょう。

履行勧告は調停調書や公正証書がある場合に家庭裁判所がしてくれる無料の制度です。

相手が再婚相手に影響されてグダグダ言ってくるようなら、遠慮なくこうした手続きを使ってプレッシャーをかけるのも有効です。

感情的な泥仕合は避け、法的プロセスに乗せること。
これが泥沼化しそうなトラブルを解決するカギです。

下手に感情で応酬すると、お互い意地になって解決が遠のきます。

相手の再婚相手が非常識であればあるほど、こちらは冷静に対処し、粛々と法律に則った行動を取りましょう。

最終的には「法律」を盾にするのが一番強力です。

子どもと再婚相手が養子縁組していたのに養育費を払わせ続けた事例

Fさん(父)は元妻との間に小学低学年の息子がおり、離婚後毎月4万円の養育費を払っていました。

その後元妻が再婚し、Fさんは元妻の姓が変わっていることから再婚を知りましたが、特に連絡もなかったため支払いを続けていました。

ところが離婚から5年後、元妻が再婚相手とも離婚したとの噂を耳にしました。

不思議に思ったFさんが息子の戸籍を取り寄せて調べると、元妻が再婚した際に息子が再婚相手と養子縁組していたことが判明しました。

つまりその期間、息子には法律上の父親(養父)が2人いた状態だったのです。

Fさんは「それならその間の養育費は本来払わなくてよかったのでは?」と考え、専門家に相談しました。

問題点

元妻がFさんに養子縁組の事実を知らせていなかったために、Fさんが本来支払わなくてもよい養育費を支払い続けていた可能性がある点です。

養子縁組成立時点でFさんの養育費支払い義務は免除されるのが通常です。

この事例では元妻側に悪意があったのか、単に失念していたのかは不明ですが、結果としてFさんは相当額を払い過ぎていたことになります。

対処法

まず確認すべきは養子縁組の有無です。

Fさんは戸籍調査でそれを突き止めました。

このように、相手が再婚した場合は子どもが養子縁組されたかどうかを役所で確認することができます。

もし養子縁組が成立していたら、その時点以降の養育費債務は基本的に消滅します。

Fさんの場合、相談を受けた弁護士は養子縁組期間中の養育費について元妻に返還請求できる可能性を検討しました。

しかし実際には、既に支払った養育費を取り戻すのはハードルが高いです。

養育費は子どもの生活のために使われていると考えられるので、「不当利得返還請求」が認められるかどうか微妙なところでした。

結局Fさんは、元妻と交渉し、今後養育費を支払わないことで合意しました。

さらに、仮にまた支払いを求められても困るので、家庭裁判所で「養育費支払い義務不存在確認」の調停を行い、養子縁組が成立した〇年〇月以降は養育費支払い義務がないことを調停調書に明記しました。

これで法的にもケリがついた形です。

このケースは少し特殊ですが、教訓としては相手が再婚したら子どもの身分関係を確認しておくことが挙げられます。

特に「養子縁組」が行われた場合、法律関係が変わりますから、養育費の扱いも見直さねばなりません。

通常は再婚相手との養子縁組には実親(あなた)の同意は不要ですが(普通養子縁組の場合)、知らせてもらえないと分からないですよね。

ですから役所で戸籍を取るのが確実です。

一方で、もしあなた自身が子連れ再婚をする場合は、養育費を受け取っている元配偶者に養子縁組の有無をきちんと伝えるようにしましょう。

そうしないと後々信頼関係を損ねたり法的紛争になる恐れがあります。

再婚相手との連れ子同士で経済状況が複雑化した事例

シングルファザーだったGさんは、シングルマザーのHさんと再婚しました。

お互い前の結婚で子どもが一人ずつおり、双方が親権を持って育てています。

Gさんは元妻に子どもの養育費(月3万円)を払っており、Hさんは元夫から養育費(月4万円)を受け取っています。

いざ一緒に暮らし始めると、家計は完全に一つになりますが、毎月夫から元妻へ3万円出て行き、妻の元夫から4万円入ってくるという複雑な状況に…。

お互いそれぞれの子どもを実子のように可愛がっていますが、Gさんの心中には「自分は連れ子ちゃん(Hさんの子)のためにもお金を使っているのに、元妻への3万円があるせいで苦しい」といったモヤモヤも芽生えてきました。

問題点

夫婦の双方がそれぞれ前婚の子に対する養育費の支払・受取を行っているため、家計内でお金の流れが錯綜している事例です。

Gさんは他人の子(連れ子)を養育する負担を負い、Hさんも同様ですが、数字上は「夫→元妻」「元夫→妻」というクロスする金銭関係があります。

こうした状況は放っておくと夫婦間のわだかまりになる可能性があります。

対処法

二人は率直に話し合い、「家計は完全に一体化し、収入も支出もすべて夫婦の共有財産とみなす」ことで一致しました。

つまり、夫が元妻に払っている養育費3万円も妻が元夫からもらっている4万円も、一旦夫婦の共有口座を経由する形にしたのです。

具体的には、夫婦共有の家計口座から元妻へ3万円を振り込み、元夫からの4万円が入金されたらそれも家計口座にプールして子どもたちの教育費などに充てる、という管理方法にしました。

こうすることで、「自分のお金」「あなたのお金」といった区別をなくし、全体として家族4人が暮らしていく収支に意識を集中させるよう努めました。

また、GさんとHさんはそれぞれの元配偶者との間で養育費額の見直しについて協議しました。

双方とも数年後には子どもが中学生・高校生と進学するため、必要に応じて増額や減額の相談をする可能性があります。

夫婦で話し合った結果、「もし片方の養育費額が変わることになったら、夫婦で事前によく相談し、家計プランを練り直そう」という約束をしました。

これによって、どちらか一方だけ勝手に元配偶者との話し合いを進めてしまい家庭内不和になることを防いでいます。

この事例のように、夫婦双方に連れ子がいる場合はオープンなコミュニケーション家計の一体管理が重要です。

養育費の「払う・もらう」が家庭内で発生する状況はレアですが、最近はステップファミリー(双方子連れ再婚家庭)も増えているため、他人事ではありません。

互いの立場を理解し、「お互い様だよね」という気持ちで助け合うことが円満の秘訣です。

アドバイス

仮に夫婦間で不公平感が出てしまう場合、必要に応じて専門家にファイナンシャルプランニングを依頼するのも手です。

第三者の視点で家計を見直し、「こちらの支出はこう分担」「将来的にどちらの養育費がいつまで続くから計画的に貯めておく」といった提案をもらえれば、感情論ではない形で納得が得られるでしょう。