【養育費を払わない相手を動かす心理術】良心・見栄・恐怖心を刺激する説得アプローチとは?

養育費を払わない相手を動かす心理術

養育費を払わない相手を「動かす」、つまり重い腰を上げさせるためには、相手の心理に働きかけるアプローチが不可欠です。

ここでは特に、相手の感情や無意識の心理を揺り動かして行動を促すテクニックやアプローチに焦点を当てます。

相手がなぜ動かないのか、その心理を見極め、それを逆手に取ったアプローチで「行動変容」を引き起こしましょう。

罪悪感と良心に訴えるアプローチ

未払いのまま放置している相手にも、心の奥底では「このままではいけないかな…」という罪悪感や後ろめたさが少なからず存在することがあります。

特に子どもに対する責任感が完全にゼロの親は稀でしょう。

そこで、その潜在的な良心を刺激するアプローチが効果を発揮します。

既に述べたように、子どもが困っている姿や悲しむ様子を伝えるのは罪悪感を呼び起こす典型的な方法です。

このままだと○○(子ども)が進学を諦めなければならないかもしれない」「子どもがあなたに会いたがって寂しがっている」といった話をすれば、「自分は悪い親なのでは」という思いが頭をもたげるでしょう。

また、「子どもに胸を張れますか?」という問いかけも心理的に響きます。

今のままでは、いずれ○○に真実を知られたとき、あなたが恥をかくことになるかもしれない。それでもいいの?」と優しく諭すように言えば、相手は自分の良心と向き合わざるを得ません。

これはプレッシャーでもありますが、相手自身の内なる良心を味方につける強いアプローチです。

ただし罪悪感に訴えすぎると相手が防御反応で開き直ることもあるので、「あなたが悪い」と断罪するのではなく「子どもが可哀想」という視点を強調するのがポイントです。

あくまで被害者は子どもであり、あなたも私も子どものために頑張らないとね、という流れに持っていきましょう。

競争心・見栄を刺激するアプローチ

人には少なからず見栄やプライド、競争心があります。

他の親に比べて自分が劣っていると思いたくない、自分は子どもにとって誇れる親でありたい、といった感情です。

そこで、「他の人はちゃんとやっているのに、自分はできていない」と思わせるアプローチも時に有効です。

例えば、「私の周りのシングルマザー仲間でも、あなたくらいの年収の元旦那さんならちゃんと月5万は払ってるケースが多いよ」などと他例を引き合いに出す方法があります。

これは嘘はダメですが、実際統計的にも平均的な養育費額などデータがありますので、そういった数字を見せるのも説得力があります。

普通はこれくらい払うものだ」という刷り込みです。

参考データ

一般的に養育費の相場は、支払う親の収入と子どもの人数・年齢によって養育費算定表で定められています。
例えば年収500万円前後の父親が中学生1人を扶養する場合、月4~6万円程度が目安とされています。
つまり、それくらいは負担するのが「普通」という前提があるのです。

さらに、「○○(子どもの名前)はあなたの自慢の子に育っているよ。あなたがちゃんと支えてくれているおかげだね。」と持ち上げるのも効果があります。

自分の子どもが優秀・健気に育っていると知れば、親として誇らしい気持ちになります。

その子が「お父さん(お母さん)は何もしてくれなかった」と思っているとは想像したくないでしょう。

この子の活躍を陰で支えているのは自分だ」と思わせればしめたものです。

要は、相手の虚栄心や競争心を上手にくすぐって、「ちゃんと払っている親」という立場を手放したくないと思わせるのです。

他の誰かと比べて劣っていると感じることは、多くの人にとって悔しいものですから、その感情を利用しましょう。

ただし露骨に「○○さんの元旦那さんは払ってるのにね」などというと言い争いになりかねないので、あくまでサラッと情報提供する程度に留めます。

「最後通牒」を使った覚悟を示すアプローチ

心理的アプローチとして、こちらが強い覚悟を示すことで相手を動かすという方法もあります。

例えば、「これ以上払ってもらえないなら、私は本気で法的手段を取ります」という最後通牒を突きつける形です。

一見これは単なる脅しのようですが、心理的には「ここまで言わせてしまった」というショックを与える狙いがあります。

人は、相手が本気で離れていく(もしくは法的に攻撃してくる)と感じた時、初めて重い腰を上げることがあります。

特に今までズルズル甘えてきた人ほど、「もう猶予がない」と悟ると慌てます。

例えば、長く交際相手にプロポーズをしなかった人が「別れる」と言われてようやく結婚を決断する、なんて話もあるように、切羽詰まった状況が行動の引き金になることは心理学でもよく知られています。

養育費の件でも、「あなたが払わないなら、私は本当に給与の差し押さえを申し立てます。それはあなたにとっても職場に知られて辛い事態になるかもしれないけど、私は子どものためにやります」というように伝える場面があるかもしれません。

これは究極のカードなので頻繁には切れませんが、一度腹を括って伝えたら、あとは相手の出方を待つのみです。

あなたの覚悟が本物であることを示せば、相手は「もう逃げられないかも」と感じ行動に移りやすくなります。

もちろん、このアプローチは諸刃の剣です。

相手が逆ギレして本当に支払いを放棄してくる可能性もゼロではありません。

ですが、既に何を言っても動かなかった相手には、最終手段として心理的ショック療法が必要な場合もあります。

この人は絶対に行動しないと思っていたけど、違った」という意外性が、相手の惰性を打ち破るきっかけになることも事実です。

第三者を交えたアプローチ

直接こちらが言っても動かない相手には、第三者からの働きかけが心理的に有効な場合もあります。

たとえば共通の知人や相手の親族、あるいは専門家(調停委員やカウンセラー)などにそれとなく諭してもらうという方法です。

親しい友人から「お前、それじゃダメだぞ」と言われたり、相手の実親から「ちゃんと子どもの面倒見なさい」と叱ってもらったりすると、案外すんなり聞き入れる人もいます。

これは自分のメンツが潰れる恥ずかしさもあり、第三者の目が入ることで良心が刺激される面もあり、複合的な心理効果が期待できます。

特に、相手が再婚している場合は、新しい配偶者(再婚相手)の存在がカギになることがあります。

新しい妻や夫が「ちゃんと払いなさいよ」と言えば、相手もカッコ悪いところは見せられず従うケースもあるのです。

いずれにせよ、自分ひとりで動かすのが難しい相手は、周囲の力を借りてみるのも手です。

家庭裁判所の調停に持ち込めば調停委員という第三者が間に入り客観的に諭してくれますし、民間のカウンセラーに相談して相手と3者面談の場を持つのも良いでしょう。

他人のふり見て我がふり直せ」という言葉もある通り、第三者がいる場では人は多少良い格好をしたがるものです。

その心理を利用し、説得力を高めるのです。

未払い相手を動かす心理的アプローチをまとめると、
  • 相手の良心や罪悪感に訴え、内なる道徳心を目覚めさせる。
  • 他者との比較や子どもの評価を示し、見栄・競争心を刺激する。
  • こちらの本気度を示してショックを与え、惰性を断ち切る。
  • 第三者の力を借り、客観的な視点から圧力や説得を加える。

これらは相手のタイプによって向き不向きがあります。

温情に訴えた方が効く人もいれば、恥をかかせた方が効く人、権威(第三者)に弱い人など様々です。

あなたの元配偶者がどのタイプか見極めて、適切な心理戦略を選びましょう。

重要なのは、最終的に相手自身が「このままじゃいけない」「動かなきゃ」と思うよう仕向けることです。
そのために、あらゆる心理カードを切ってみてください。