養育費を払わない元配偶者の「心の中」を知っていますか?未払いの裏にある心理8パターンとは

養育費を払わない元配偶者の「心の中」を知っていますか?

相手の心理的背景を理解することは、適切な対策を講じる上で非常に役立ちます。

相手が抱える本音や事情を知れば、前述した各種アプローチのうちどれを重点的に使うべきか見えてくるでしょう。

以下に、養育費未払い者にありがちな心理的背景をいくつか挙げます

心理背景1:「親権を取られて役割を奪われた」

親権を持てなかった側の親には、「自分は親として負けた」という被害者意識がある場合があります。

特に激しい親権争いの末に譲らざるを得なかった人ほど、その思いが強い傾向です。

自分の意見を無視して親権を持っていったのだから、今後の子どものことは全部そっちで見るべきだ」という卑屈さや怒りに似た感情を抱えており、それが養育費拒否につながります。

これはプライドの問題であり、心の整理がついていない状態です。

心理背景2:「面会できない腹いせ」

こちらも典型的で、子どもと会わせてもらえない不満から「会えないなら金も払うものか」という心理です。

元配偶者への報復や当てつけの意味合いが強く、「自分ばかり損をしている」という被害者意識が背景にあります。

つまり、養育費未払いを人質にして面会交流を要求しているような状態とも言えます。

裏を返せば、それだけ子どもに会えないことを寂しく思っているケースもあるので、非常に歪んだ愛情表現とも言えるでしょう。

心理背景3:「収入が減ったから仕方ない」

経済的事情が心理背景になっているパターンです。

リストラや収入ダウン、病気や怪我による離職などで生活そのものが逼迫しており、「払いたい気持ちはあるが物理的に苦しい」もしくは「自分の生活で精一杯で余裕がない」という心理です。

この背景では、罪悪感を持ちながら払えずにいる人もいれば、開き直って「今の状況じゃ無理」と諦めてしまっている人もいます。

心理背景4:「元妻(夫)が再婚したから自分の役目は終わり」

相手(受取側)が再婚した場合に、「もう元妻は新しい家庭ができたんだから、そっちで子どもも面倒見るだろう。自分は払わなくてもいいはずだ」という勝手な理屈を抱くことがあります。

法的には間違いで、再婚しただけでは義務は消えませんが、心理的には「自分だけが負担するのは不公平だ」という思いです。

特に新しい夫(妻)が高収入の場合、「あっちは金あるんだから自分の金は出したくない」という嫉妬や甘えも混ざった心理でしょう。

心理背景5:「母親(父親)が浪費しているから払いたくない」

これは支払う側が、受け取る側(親権者)の金銭管理や生活態度に不信感を抱いているケースです。

例えば「元妻が養育費を子どものために使わず自分の贅沢に使っているのでは」という疑念や、「十分実家の援助があるのに自分だけ負担するのは納得いかない」といった感情です。

Yahoo!知恵袋などでも「元嫁が養育費をパチンコに使ってる」「ちゃんと子どもに使われてるか分からないから払いたくない」といった声が見られます。

お金の使途に対する不信が背景にある場合、払う側のモチベーションは下がりやすいです。

心理背景6:「新しい家庭・複数の扶養で手が回らない」

支払う側が再婚して子どもが生まれたり、あるいは別の女性との間にも子どもがいて扶養家族が増えている場合、単純に支出が増えてキャパオーバーとなっている心理背景です。

特に男性で多いですが、「今の妻との子も養わなきゃだし、前の子にまで払う余裕ないよ」という現実問題が動機です。

内心では「悪いとは思うけどどうにもならん」という感じで、自己弁護しつつ未払いが続いていることが多いです。

心理背景7:「元配偶者への恨み・仕返し」

離婚原因によっては、元配偶者への強い怒りや恨みから養育費を人質に嫌がらせしている場合もあります。

例えば、離婚原因が相手の浮気であったりDVであったりして「慰謝料も取られた。もう金なんか払いたくない」と頑なになっているケースです。

または、離婚時の話し合いで揉めた恨みが残っていて、「悔しいから払ってやらない」と意地を張っていることも。

元妻に対して報復してやりたいという心理」がこれに当たります。

子どもというより、もはや元配偶者個人への敵意が背景にあるため、非常に厄介です。

心理背景8:「自分の問題で手一杯(鬱や依存症など)」

精神的な疾患やアルコール・ギャンブル等の依存症、または犯罪トラブルで服役中など、本人のコンディションが著しく悪く養育費どころではないケースもあります。

例えばうつ病で働けない、人間不信に陥って連絡自体を拒絶しているなどです。

この背景の場合、そもそも交渉の土俵に相手が上がれない状態なので、心理術以前の問題になってしまいます。

専門家の助けが必要なケースとも言えるでしょう。

これらの心理的背景は一人の人間に複数当てはまることもあります。

例えば、「面会できない腹いせ」と「再婚して新家庭優先」が両方あるとか、「収入減」と「鬱状態」が重なっているなど複合的です。

大切なのは、相手が何を感じ、何を考えて支払いを滞らせているのか、その本心を想像(または直接確認)することです。

実際に弁護士によるインタビューをまとめた書籍『養育費実態調査 払わない親の本音』には、払わない理由として「子どもと会えていないから実感がない」「母親(元妻)が再婚して他人の子を育てるようで嫌だ」などの声が紹介されています。

また、ある調査では未払い者の理由として「自分は親権を取れず納得いかなかった」「面会させてもらえない」「収入が減った」が多く挙げられています。

データから見ても、上記のような心理背景が多いことがわかります。

あなたの元配偶者がどのタイプなのか見極めることで、「なるほど、だからあの時ああ言っていたのか」と合点がいくかもしれません。

相手の心理的背景を理解することは、決して相手を甘やかすことではなく、適切な対処法を選ぶためのヒントになります。