深夜0時、しーんと静まり返った那覇市のアパートで、私は天井を見つめていました。
養育費が払われない…子どもに必要なお金が足りない…。
心臓がドキドキと波打ち、眠れぬまま朝を迎える日々です。
沖縄県でひとり親として子どもを育てるのは、それだけでも大変なのに、元夫からの養育費が途絶えたときの絶望感といったらありません。
かつての私もまさに同じ状況に陥り、暗いトンネルにいるような気持ちでしたが、あなたはひとりではないのです。

絶望の夜に浮かぶ一筋の光
「このままじゃ家賃も払えない…どうしよう?」――途方に暮れる夜、頭の中をぐるぐると不安が駆け巡りました。
沖縄県は子どもの貧困率が全国平均の約2倍、母子世帯の割合も約2倍と言われています。
経済的に厳しい世帯が多い土地柄だからこそ、養育費が支払われない打撃は計り知れません。
とはいえ、絶望の中にも一筋の光は存在します。
私がその光を見つけたのは、市役所でもらった一枚のパンフレットでした。
そこには、養育費に悩むひとり親のための相談窓口がちゃんと載っていたのです。
「まずは電話相談を」と書かれたその文字に、ふと胸が熱くなりました。
困ったときはひとりで抱え込まず、まず相談を――シンプルだけれど、その言葉がこんなにも心強いなんて。
実際、沖縄県では公的機関や専門団体が養育費未払いの相談に無料で応じています。

怒りと涙の行政相談体験
意を決して行政の窓口を訪れたとき、正直言って半分あきらめの気持ちでした。
「どうせ役所なんて冷たい対応かもしれない」――そんな怒りにも似た不安を抱えていました。
それでも、子どものために動かなければと足を運んだ那覇市役所の子ども家庭課。
カウンター越しに事情を話し始めると、感情があふれて思わず涙がぽろぽろと落ちました。
しかし対応してくれた職員さんは驚くほど親身で、「大丈夫ですよ、一緒に考えましょうね」と優しく声をかけてくれたのです。
ほんの一言でしたが、その瞬間に肩の力がふっと抜けました。

沖縄県では那覇市首里に「母子家庭等就業・自立支援センター」という機関があり、公益社団法人沖縄県母子寡婦福祉連合会が養育費や親子交流の相談業務を委託されています。
私がお世話になったのもまさにそこでした。
電話予約をすれば平日の日中いつでも相談員に無料で相談でき、必要に応じて弁護士など専門家にも繋いでもらえます。
事実、この連合会は沖縄県内で年間300件もの相談を受け付けてきた実績があり、離婚や養育費問題に直面する親たちを長年支えてきたのです。
自分一人では「どうにもならない」と思えた問題も、行政窓口で扉を叩いたことで状況が動き始めました。
行政のサポートを侮ってはいけない、と痛感した体験です。
あなたも、「恥ずかしい」「こんな相談していいのだろうか」と迷っているなら、まずは市町村の窓口を訪ねてみませんか?

法テラス沖縄という強い味方
とはいえ、元配偶者が支払いに応じない場合、具体的にどう請求し、法的にどう対処すればいいのか、新たな不安が湧いてきました。
私も最初は「裁判なんて大げさだし、弁護士なんて高額で無理」と葛藤しましたが、それは誤解でした。
沖縄には「法テラス沖縄」という強い味方があります。
法テラスは国が設立した公的な法人で、経済的に余裕がない人を対象に無料で法律相談を行ってくれる窓口です。

「まずは法テラスへお気軽にお問い合わせください」というフレーズに半信半疑でしたが、本当に無料で法律のプロに悩みを打ち明けられるのです。
収入など一定の条件を満たせば、30分程度の弁護士相談を同じ内容で最大3回まで無料で受けられる制度もあります。
例えば養育費の強制執行や調停の起こし方など、専門的なアドバイスを直接弁護士から何度かにわけて聞けるのは心強いですよね。
実際、私の場合は法テラス経由で弁護士会の法律扶助制度を利用し、公正証書の作成手続きまでスムーズに進めることができました。

「お金がないから専門家に相談できない」という思い込みは、法テラスによってガラリと覆るでしょう。
逆に、経済的に厳しい状況だからこそ積極的に活用すべき制度です。
あなたも「弁護士なんて敷居が高い…」と尻込みしていませんか?

一人で悩んだ時間がもったいなかった、と感じるほど明確な道筋が見えてくるはずです。
孤独にさせない沖縄養育費弁護団の存在
「とはいえ、相手が払わなければ結局泣き寝入り?」そんな不安が頭をもたげたことも正直あります。
しかし沖縄には、あなたを孤独にさせないために立ち上がった弁護士団があります。
その名も「沖縄養育費弁護団」。
実は、私が養育費について相談していた矢先に知人から教えてもらったのですが、沖縄県弁護士会所属の有志11名によるボランティアの団体で、養育費未払いに苦しむひとり親を支援するために2021年に結成されたそうです。
コロナ禍でひとり親の困窮が社会問題となる中、「子どもの未来のために何とかしたい」と弁護士たちが立ち上がったと聞けば、胸が熱くなりますよね。
沖縄養育費弁護団は毎週火曜日に無料の電話法律相談を実施しています。
例えば第1・3・5火曜日の午前(9時30分~12時)と第2・4火曜日の夕方(17時30分~20時)に、それぞれ担当の弁護士が直接電話で相談に乗ってくれる仕組みです。

実際に私も電話をかけてみた一人です。
夕飯を終え子どもを寝かしつけた午後6時、震える手で番号を押しました。
電話の向こうからは落ち着いた男性の声。
「大丈夫、順を追ってお話ししましょうね」と言ってもらえた瞬間、張り詰めていた気持ちがスッと和らいだのを覚えています。
30分ほどでしたが、今後取りうる法的手段や、調停手続きの具体的な流れについて丁寧に教えてもらいました。
「一人で抱え込まなくていいんですよ」という言葉にどれだけ救われたか分かりません。
無料の電話相談だからといって距離を感じることは全くなく、むしろ面と向かうより気持ちを話しやすい利点もありました。
沖縄養育費弁護団への問い合わせ先も公開されていますし、まずは電話する勇気さえ持てれば、孤独な戦いから一歩抜け出せるでしょう。

寄り添う支援の輪:NPOや地域の無料相談
さらに心強いのは、行政や弁護士だけでなくNPOや地域のサポート団体もあなたを支えてくれることです。
沖縄県母子寡婦福祉連合会は先述のとおり県から委託を受けて相談事業を行っていますが、実は県内各地に29もの支部(市町村母子会)があり、地域ごとにきめ細かな支援ネットワークを築いています。
私も連合会の相談員さんから「お住まいの地域の母子会にもつながってみましょう」と提案され、地元のシングルマザーたちとの情報交換会に参加したことがあります。

悩みを共有し合うお茶会で出会った30代のシングルマザーの友人は、当初「元夫に強く言えなくて…」と泣き崩れていましたが、先に相談を進めていた私の体験談や支援制度の情報を伝えると表情が変わりました。
その後彼女は勇気を出して法テラスに連絡を取り、今では公正証書を作成して養育費支払いの約束を取り付けています。
「一人だったら諦めていた。背中を押してもらえて良かった」と感謝され、私も自分の経験が誰かの役に立てたことに救われました。
さて、無料相談の場は他にもあります。
各市町村では住民向けに定期的な無料法律相談会を開いている場合があり、例えば「沖縄市役所」では、毎週木曜日の午後に離婚・金銭トラブルなどを対象とした市民相談窓口を設けています。
事前予約が必要ですが、自治体によっては弁護士が当番で対応してくれるので心強いです。
ただし原則その市町村の住民しか利用できない点には注意しましょう。
また、「沖縄弁護士会の法律相談センター」でも特定の分野については無料相談を実施しています。
「どこに相談したらいいの?」と迷ったときは、身近な市役所や区役所の広報をチェックしてみてください。

行政・弁護士・NPOが三位一体となって支援の輪を広げている沖縄なら、きっとあなたに合った相談先が見つかるはずです。
沖縄県で養育費未払いに悩んでいるあなたへ
養育費の未払いに苦しんでいるのは決してあなただけではありません。
そして、状況を変えるための扉は思った以上にたくさん開かれています。
未来志向で言えば、養育費の確保を支援する新しい制度も次々と生まれています。
たとえば「那覇市」では、養育費の公正証書作成費用や保証会社との契約費用を補助してくれる制度もスタートしました。
計算式で示すと、月々3万円の養育費に5%の保証料がかかる場合、年間18,000円の負担になりますが(30,000円×0.05×12ヶ月=18,000円)、それすら行政の支援でカバーできるということです。

大事なのは、一人で抱え込まず今、立ち上がることです。
私はあの暗闇の中で勇気を振り絞り、相談の一歩を踏み出したおかげで、少しずつ景色が変わっていきました。
あなたも、胸の中にある不安や怒りをそのままにせず、どうか声に出して助けを求めてください。
沖縄の地には、あなたの声に耳を傾け、ともに解決策を考えてくれる人たちがたくさんいます。
