再婚後に子どもが安心できる家庭を築くコツ|継親と連れ子の関係づくり5つの鉄則

再婚後に子どもが安心できる家庭を築くコツ

養育費の問題と並んで、再婚を考えるシングルマザー・シングルファザーにとって大きな関心事となるのが子どもとの関係づくりです。

自分が再婚する場合も、元配偶者が再婚する場合も、子どもの心境には変化が起こり得ます。

こちらでは特に自分が再婚するケースを念頭に、子どもと新しい家族の良好な関係を築くポイントについて解説します。

再婚により家族構成が変わっても、子どもが安心して過ごせる環境を整えることが何より大切です。

新しい配偶者(継父母)との関係、そして実の親であるあなた自身との信頼関係を維持・向上させていくために、どんなことに気を付ければ良いのか見ていきましょう。

子どもの気持ちを最優先に考える

再婚を子どもに伝える際や、新生活が始まった当初は、子どもの気持ちに寄り添うことが最も大切です。

あなたにとっては待ち望んだ幸せな再婚でも、子どもにとっては環境の激変です。

新しいお父さん・お母さんができることを喜ぶ子もいれば、実の親ではない存在に戸惑いや不安を覚える子もいます。

年齢によっても反応は様々でしょう。
大事なのは、子どもの感情を否定しないことです。

もし子どもが再婚に反対したり、新しいパートナーに懐かなかったりしても、「せっかく再婚したのに水を差さないで」などと責めるのはNGです。

むしろ、「突然でびっくりしたよね」「寂しい思いをさせてごめんね」といった言葉をかけ、子どもの戸惑いを受け止めてあげることが信頼関係を保つコツです。

また、子どもによっては再婚話に合わせて姓が変わる、引っ越しする、学校が変わるなど生活環境まで変わる場合もあります。

そうなると子どもにとってはストレスフルな出来事の連続です。

再婚当初はなるべく子どもの好きなことに時間を割いてあげたり、一緒に過ごす時間を増やしたりして、子どもが「変わらない愛情」を感じられるよう配慮しましょう。

豆知識

厚生労働省によれば、母子家庭の母が再婚するケースは約35%との推計があります。
子連れ再婚自体は珍しくありませんが、周囲の理解が十分でない場合もあります。
子どもが学校や友達に話す際に困惑しないよう、必要に応じて先生や友達の親に事情を伝えておくのも一案です。

継親との関係は焦らず時間をかけて

新しい配偶者(継父あるいは継母)と子どもとの関係構築は時間をかけることが重要です。

再婚した当事者同士(大人)は結婚というゴールに向けて一気に関係を深めてきたでしょう。

しかし子どもにとって継親は突然現れた存在です。

いきなり「今日から新しいお父さん(お母さん)よ、仲良くしなさい」と言われても、すぐ懐くのは難しいかもしれません。

ポイント

継親本人も「早く打ち解けよう」と肩肘張らないことです。
専門家の指摘では、継親が意気込みすぎるのはかえってうまくいかない要因になるとのこと。
むしろ「最初からうまくいかなくて当たり前」「少しずつ信頼を積み重ねよう」くらいのスタンスが長期的には良い関係を築くコツだそうです。

たとえば、継親が張り切りすぎて子どもにベタベタ構いすぎたり、「私をお母さん(お父さん)と呼んでね」と強要したりすると、子どもは引いてしまうかもしれません。

そうではなく、子どものペースに合わせて距離を縮めるのが理想です。

最初は挨拶や世間話程度でも、継親が毎日安定して優しく接してくれるだけで子どもは徐々に心を開いていきます。

実際、「連れ子との関係作りは時間がかかるもの」と認識しておくことが肝要とするアドバイスがあります。

具体例として、継親から積極的に遊園地や旅行に連れて行こうと張り切りすぎない。まずは日常の会話や食事を通じて少しずつ距離を縮める。

子どもが懐いていない段階でスキンシップ(ハグや頭ポンポンなど)をしようとしない。子どもから寄ってくるのを待つ。

子どもの好きなもの・趣味をリサーチしておき、会話に取り入れる。一方でプライバシーには踏み込みすぎない。

継親の側にも「最初から完璧な親になろうとしないで大丈夫」と伝えてあげましょう。

上手くいかないことがあっても普通のことなので、焦らず見守る忍耐強さが必要です。

時間をかけてコミュニケーションを継続することで、長期的には子どもとの間に絆が育まれていきます。

継親は叱り役よりフォロー役に回る

新しい家庭で問題になりやすいのが、子どものしつけ・叱り方です。

実の親と継親、それぞれがどう役割分担するかで子どもの受け止め方も変わります。

一般的に言われるのは、「叱るのは実親、継親はフォロー役に徹する」のが良いということです。

なぜかというと、継親がいきなり子どもを叱る立場になると、子どもは「本当の親じゃないのに!」と反発してしまいやすいからです。

逆に継親が優しくフォローしてくれる存在であれば、子どもは「新しいお父さん(お母さん)は自分を支えてくれる」と感謝・信頼の気持ちを抱きやすくなります。

具体的には、

叱るときは実の親が中心になる

子どもが悪いことをしたりルールを破ったりした場合、まずはあなた(実親)が叱ります。

継親は口を挟まず後ろで見守るか、場を外しても構いません。

継親は励まし役

叱られてしょんぼりしている子に対し、継親が「大丈夫だよ、次から気をつけようね」「○○ちゃんの良いところもお父さんお母さん分かってるから」とフォローします。

これで子どもは「自分の味方をしてくれた」と感じ、継親への信頼が増します。

夫婦間でルールを擦り合わせ

事前に夫婦で「こういう場面では私が叱るから、あなたはサポートして」と打ち合わせておくとスムーズです。

継親が手を出したくなる場面でもグッと堪えてもらえるでしょう。


このような役割分担をしておくことで、継親=優しいサポーターというイメージが子どもに定着しやすくなります。

もちろん時と場合によっては継親が注意しなければならない場面も出てきますが、できる限り実親が矢面に立つよう意識しましょう。

子どもの心に「この人は自分を叱ってばかり」という印象を持たせないことが大切です。

新しい家族が増えても子どもを最優先に

再婚後、夫婦の間に新しい子ども(異父兄弟・異母兄弟)が生まれることもあるでしょう。

その際に気を付けたいのは、既存の連れ子を優先する姿勢を示すことです。

どうしても実の子どもが生まれると可愛さからそちらに意識が向きがちですが、連れ子からすれば「自分はもう後回しかな」と感じてしまう恐れがあります。

例えば、

  • 家に帰ったらまず連れ子に「ただいま」「元気だった?」と声をかける
  • プレゼントやお土産を買って帰るときも、連れ子に先に渡す。
  • 食卓で綺麗な形のハンバーグが二つあれば、連れ子に好きな方を選ばせる。
こうした小さな気遣いですが、「あなたも変わらず大切だよ」というメッセージを伝えることができます。

連れ子が思春期だと特に敏感ですから、細やかな配慮を続けましょう。

もちろん、生まれた赤ちゃんにも愛情を注ぐのは親として当然です。

しかし子どもは親のちょっとした態度ですぐ感じ取ります。

最近○○(連れ子)より新しい子ばかり抱っこしてるな…」と不安にならないよう、意識して連れ子との時間も確保します。

例えば赤ちゃんが寝ている間に上の子とゲームをしたり、たまには上の子だけを連れて買い物に行ったりするなど、一対一の時間を持つのも有効です。

補足: 再婚家庭で新生児が生まれると、連れ子が赤ちゃん返りのような行動をする場合があります。

これは愛情を確かめたい心理の表れです。

叱ったりせずに「まだ甘えたいんだね」と受け止め、十分に甘えさせてあげてください。

その上で、「あなたも赤ちゃんの時はこうだったのよ」と写真を見せたりして、親としてあなたを育てた経験があることを伝えると安心することがあります。

実の親との関係も尊重する

再婚後も、子どもにとっては別れた実の父親・母親が存在します。

再婚家庭がうまくいくためには、子どもが実の親との絆を感じ続けられるようにすることも意外に大切です。

なぜなら、子どもが実の親を恋しがったり罪悪感を持ったりすると、再婚家庭での心の安定が損なわれる場合があるからです。

可能であれば、面会交流(子どもと別居親が会うこと)を定期的に実施するのが望ましいでしょう。

たとえあなたは再婚して幸せでも、子どもにとって実のお父さん・お母さんは掛け替えのない存在です。

会わせるのが不安な場合でも、手紙や電話、オンライン通話など子どもと実親がつながる手段を残しておくことを検討してください。

最近はコロナ禍の影響もあり、オンライン面会なども普及してきました。

子どもからすれば「離れて暮らす実の親に忘れられていない、自分も会っていい存在なんだ」と確認できるだけで安心感が違います。

継親の立場から見ても、子どもが実の親との関係に後ろめたさを感じていると懐いてくれにくいです。

むしろ「お父さん(実父)にもらったおもちゃで一緒に遊ぼうか」など、継親が実親との関係を肯定的に受け入れてあげると、子どもは「この人は自分の全部を認めてくれている」と信頼しやすくなります。

もちろん、実親に問題(DV等)があり面会させられない事情もあるかもしれません。

その場合は無理にとは言いませんが、少なくとも子どもが実親のことを話題に出したときに否定しないでください。

子どもが実の親に言及するのは自然なことです。

それを聞いて継親やあなたが不機嫌になったりすると、子どもは「禁句なんだ」と感じてしまいます。

寂しそうにしていたら「会いたいよね、本当は」と共感してあげるだけでも子どもの気持ちは救われます。